バイクを購入すると誰でも嬉しいですよね。そして他の人のバイクよりもカッコ良くしたくなっちゃいますよね。そんなドレスアップやカスタマイズに手軽で人気なのがスライダーです。
エンジンスライダーやフレームスライダーなどメーカーによって名前もいろいろ。フロントフォークに付けるフォークスライダーやアクスルシャフトのアクスルスライダーという物もあります。
確かにカッコイイですね
で、このスライダー
付けておけば万が一の転倒の際にもバイクを守ってくれるって思ってませんか?
守る=ガード
ガードって言ったらこんなやつです
スライダー=滑らせるもの
です
話は20年ほど前のサーキット
この頃からチョボチョボとスライダーと言うパーツを耳にするようになりました。
サーキットで転倒するとバイクがコース上を滑りますね。その際、ステップやエンジンケースが引っかかるとその部分が大きく損傷してしまいますし、場合によってはもんどり打って宙を舞ってしまいます。
スプリントレースは転倒したらほぼリタイヤですが、耐久レースならピットまで帰れれば修復できます。だったら滑りを良くして致命傷を避けましょうってことで開発されたらしいです。
更に、滑りやすくすることでコース上に転倒したマシンが残ってしまうことも軽減できるので良いことずくめです。
このようなパーツであるスライダーを取り付けて一般道路で転んだらどうなるでしょう。
バイクいっぱい滑ります。これ、実際、驚くくらい滑ります!
サーキットならコース外はグラベル(砂地)ですが、一般道路は?
電柱・縁石・対向車・家・石垣など、いろいろなものがあります。勢い良く滑って行ってそれらに激突したら?
歩行者が歩いていたらと思うとゾッとしますね。
更に問題なのは、車体から大きく出っ張ったスライダーに大きな衝撃が集中することです。
そのほとんどがエンジンマウントなどの頑丈な部分のボルト穴を利用して取り付けています。取り付け部分の剛性は高いですが、スライダー本体を支えているのは僅か10~12mm程度のボルト1本です。
そりゃ~曲がりますわ。
今回入庫した車両もボルトが曲がってしまい取り外せなくなってしまったので切断しました。
上の画像見て気付きました?
曲がったスライダーでフレーム割れてます
フレームってエンジンのクランクケースと並んでバイクの2大重要パーツです。カウルやエンジンカバー守るための代償がフレームって。。。
過去にはエンジンマウント割れてしまった車両もありました。
当店ではスライダーの取り付けをご希望される方に上記のようなパーツ特性を説明させて頂いております。
もちろん、タチゴケや極低速での転倒ならば付いていた方が良いのは間違いないと思います。
ですがある程度の速度で転倒した場合はその限りでは無いこと。無い方が良かったと思える場合もあること。ここが重要だと思います。
一番怖いのは滑って行った先で第3者に損害を与える可能性が高くなることだと思います。
今回の記事はスライダーを否定しているわけではありませんので悪しからず。
スライダーが開発され普及した経緯は素晴らしいことだと思いますが、状況により良くも悪くもなり得るということです。頭ごなしにみんなが付けているから良いパーツと判断するのは違いますよって程度に受け取ってください。また、サーキットで役に立つパーツだから一般道路でも役に立つとは限らない場合もあるってことです。
私? もちろん付けてましたよ。サーキットのスポーツ走行走ってましたので。幸いなことにその恩恵に与ることはありませんでしたが。
ですが、2011年の3月11日に役に立ちました。
東日本大震災の揺れでバイク倒れちゃいましたが、カウルから大きく張り出したスライダーのおかげでカウル割れずに済みました♪
ちなみに、地震直後の私のYZF-R1です。。。
どんなパーツを付けるかということよりも、どんなイレギュラーがあっても転倒し無いくらいのマージンを持って楽しくバイクに乗ってください。
タイヤ端まで使っても凄くないですよ(むしろイン側に避けられないから危ないです)。
峠速くても偉くないですよ(バイクのイメージ悪くなるだけです)。
上達することもバイクに乗る楽しさの1つですが、練習はクローズドのコースでやりましょう。一般道路はコースで培った知識と技術で優雅に走る場所です。